山陽新幹線の代名詞ともいえる「ひかりレールスター」が風前の灯になっています。新種別や新車両の登場を受け、その役割を終えつつあり、摩訶不思議な臨時列車も運行されています。
そもそも「ひかりレールスター」って?
700系7000番台
東海道山陽新幹線の車両といえば白地に青いラインが特徴です。しかし、その中でグレーの車体にダークグレーのライン、さらに窓下に黄色のラインが入った700系の車両が山陽新幹線では走っています。その700系には7000番台が与えられており東海道山陽新幹線とは明確に区分されています。この700系7000番台を使用した山陽新幹線内を走る「ひかり」を「ひかりレールスター」として運行しています。
みずほ・さくらの誕生と共に…
2009年頃のピークでは新大阪〜博多間で25往復運行されていた「ひかりレールスター」ですが、新種別の誕生と共に一気に入れ替わります。2011年3月12日のダイヤ改正で九州新幹線が鹿児島中央〜博多まで全線開業。それにより「みずほ」と「さくら」が直通運行を始めました。「みずほ」は「のぞみ」相当。「さくら」は「ひかり」相当です。このままでは「ひかりレールスター」に加えて「さくら」まで運行すると同種別の供給過多となってしまいます。なので今まで「ひかりレールスター」で運行されていたダイヤが「さくら」に置き換わり、本数を減らしていきました。
「ひかり」とは違う
残り数本の風前の灯火
本数が減少している「ひかりレールスター」ですが、2018年3月のダイヤ改正で一気に風前の灯火のなりました。現在残る定期運行は
方向 | 号数 | 発着 |
---|---|---|
下り | ひかり443号 | 新大阪20:30〜博多23:51 |
上り | ひかり440号 | 博多6:00〜岡山8:29 |
ひかり442号 | 博多6:17〜新大阪10:13 |
となっており、早朝と深夜のパターンダイヤから外れる時間帯に設定されています。
姫路〜博多の臨時列車
2018年3月ダイヤ改正で誕生
そんな中臨時列車として「ひかりレールスター」が誕生しました。しかも珍しい駅を発着します。
ひかり577号(臨時) 姫路13:14〜博多15:27
ひかり576号(臨時) 博多14:18〜姫路16:30
山陽新幹線の起点である新大阪に乗り入れせず、姫路で発着します。ではなぜ姫路なのでしょうか?発表はされていませんが姫路という駅を考えると想像が出来ます。
姫路発着の理由
姫路発着の「ひかりレールスター」。その理由は山陽新幹線特有の事情があります。山陽新幹線の起点である新大阪駅はJR東海の管轄でJR西日本は間借りしているような状態です。「ひかりレールスター」などの山陽新幹線独自の列車は20番線発着となりますが、上り本線(山陽新幹線側)から直接20番線に乗り入れることは出来ません。入線するには下り本線を逆走してこなければならないのです。
下り本線には東海道山陽新幹線を直通する「のぞみ」や「ひかり」が頻繁に通ります。20番線には、その合間を縫って入選する必要があります。なので現状、定期列車以外では新大阪発着の列車を設定するのは非常に厳しいのです。
その新大阪の問題を解消できるのが、西明石駅か姫路駅です。両駅とも駅の前後に渡り線があり折返しが可能です。ですが、ここで問題になるのがホーム数です。西明石は上下1面ずつしかなく、長時間の停車が出来ません。逆に姫路駅は下り線のみで1面2線を持ち、待機しながらも下り列車を停めることが出来ます。そして宣伝効果の面から見ても、西明石より姫路のほうが知名度が高く九州・中国地方へのアピールへはもってこいです。
臨時列車専用割引きっぷ
そしてこの臨時「ひかりレールスター」の利用促進を図るため、JR西日本では専用の割引きっぷを販売しています。姫路〜小倉・博多間の普通車指定席が8000円となり、博多は5,810円(通常13,810円)、小倉は4,620円(通常12,620円)もオトクです。他区間の設定はありませんが、博多発・姫路発どちらも広島以遠だと通常料金より割安になるので、途中下車の選択もあります(途中下車時は前途無効)。
残り運行本数が少ない「ひかりレールスター」。車両も新しくN700S系が誕生し、しかもこの車両は短編成化が可能で、今後順次置き換えられて行く可能性があります。今しか楽しめない鉄道風景を心に刻んではいかがでしょうか?