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自由席特急券が安い!
おトクな特急料金
今回、新山口からスーパーおきに乗車し益田でスーパーまつかぜに乗り換えて乗車しましたが、もちろん特急券が別々で必要です。スーパーおきは始発駅である新山口は新幹線との乗継割引対象駅なので途中下車しなければ新幹線利用時は特急料金が半額になります。スーパーまつかぜは乗継割引の対象ではありませんので正規A特急料金が当てはまりそうですが、実は違います。利用を促進するために「おトクな特急料金」が設定されています。
東西に細長い鳥取県と島根県。そんな両県の移動利用を促進するために自由席特急料金に特定料金が設定されており、鳥取から出雲市までと、米子から益田までの区間で101キロメートル以上を利用する場合に自由席特急料金が1300円となります。最長区間である米子−益田間は191.5キロで通常のA特急料金だと2160円で、860円も高くなります。たくさん乗れてお得なのは嬉しいです。
特急券が安くなる区間
対象となる区間をまとめてみると…
鳥取から利用する場合は、安来(101.5km)以遠。(同県内の米子は92.7キロで対象外)
米子から西へ利用する場合は、仁万(105.9km)以遠、
出雲市から東へ利用する場合は、倉吉(114.5km)以遠、西は三保三隅(108km)以遠。
松江から西へ利用する場合は、江津(102.4km)以遠、東は鳥取大学前(116.1km)以遠。
益田から利用する場合は、西出雲(125.1km)以遠(1往復停車)。
ちょうどよい塩梅の距離となります。稼ぎ頭の「やくも」と「はくと」を使わせないのもミソです(笑)
自由席だと座れないかもしれない…と思うかもしれませんが、年末年始・大型連休以外は座れる可能性は高いです。そんな事情もあるからこそ利用促進を図っているのかもしれません。
キハ187の本領発揮!
制御付き自然振り子
やはりキハ187の特徴といえば「制御付き自然振り子」。自然振り子式はカーブの通過速度向上と乗り心地改善のために装備される車体傾斜システムの一つで、カーブ通過時に掛かる超過遠心力を利用して車体を内側に傾けることで横方向に掛かる遠心力を下方向に分散します(簡略な解説)。このときに下方向に荷重がかかるので線路も強化されています。
その自然振り子式はカーブに入ってから作動するので、振りが遅くなったり戻るときに逆方向にも振ってしまうなど乗り心地を悪くしてしまうデメリットがありました。381系などがこれで、「やくも」や「くろしお」などは乗り物酔いする乗客が多発しました。
その乗り心地を改善するために開発されたのが制御付き自然振り子です。文字通り自然振り子を制御するシステムが搭載されています。コンピュータに記録された線路のデータと位置情報・速度から最適な傾斜角度を計算しカーブに差し掛かる前から徐々に車体を傾斜させ、カーブを抜けると徐々に元に戻していきます。急に揺れたりしないので乗り物酔いする乗客も少なくなったそうです。
実はこのキハ187はこの制御付き自然振り子式の営業用最後の形式で(製造・開発は別)、これ以降は空気ばね方式に移行していきます。なのでキハ187は今後貴重な車両になるかもしれません。
空気ばね方式と制御付き自然振り子の違い
最近の主流である「空気ばね方式」は空気の力で車体を傾斜させるシステムで新幹線N700系やE5系などにも採用されています。新幹線に乗ったときにわかるように、乗っていると傾斜しているのかしていないのか分からないぐらい自然に傾斜します。
それに比べて制御付き自然振り子は「さぁ傾斜しますよ!」という感じで傾きます。なので酔いやすい人だと簡単に乗り物酔いしてしまいます。
山口線と山陰本線
そんな制御付き自然振り子装置がついたきは187は、2日目中編で乗ってきた山口線は振り子装置を切って運転します。特に理由は開示されていませんが、山口線が振り子式で走れるように線路が改修されていないからだと思われます。車体傾斜装置を作動せるためには車体だけでなく線路もそれ用に改修する必要があるので…運行頻度が低い山口線では改修するほどの効果が見込めないために、そのままになっているのだと思います。
逆に山陰本線は島根県の都市間輸送を担っており、高速化されて装置をバンバン使って走ります。日本海の海岸線の曲線を100キロ近いスピードで通っていくのは迫力があります。
乗車データ
乗車路線
路線 | 乗車区間 | 営業キロ | 備考 |
---|---|---|---|
山陰本線 | 益田−松江 | 162.6km |
概要 | |
---|---|
特定特急券 | 1,300円 |
所要時間 | 2時間7分 |
次はハプニングの連続!!
この回で優待きっぷの利用は終わってしまいますが、旅はまだまだ続きます。